天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

山川草木悉皆一所懸命

Eテレが今、再放送しているこころの時代/マンダラ。

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胎蔵マンダラは、空海が唐から持ち帰った最も重要なマンダラのひとつ。密教の本尊・大日如来の広大無辺の慈悲を説く。描かれているのは、ほとけばかりでなく、地獄に住む鬼や異教であるヒンドゥー教の神々の姿も。あらゆる存在を等しく尊いとみる革新的な世界観を提示している。さらに、胎蔵マンダラには星や星座などの天体も描かれている。

要するに、全ては大日如来の現れ=化身と説くのが胎蔵界曼陀羅。更には山川草木悉皆成仏、自然にも仏性ありとする。
これは面白いなあ、そうするとキリスト教の人格神や三位一体なる理屈も大日如来の化身とすれば抵抗なく受け止められる、と古楽の楽しみ→クリスマスオラトリオ 第一部を聴いたりペライア/イギリス組曲を漫然雑念謹聴していたら閃いた。


そうか、大日如来の音楽的化身がバッハなどのポリフォニーなのだ。
そこで、こんな事を思いついた奴はいないやろとネット検索「曼陀羅 ポリフォニー」したら既に先客あり。


『森のバロック』終盤で、中沢新一は西の「ポリフォニー」と東の「マンダラ」を対比させて議論をしている。
ポリフォニーもマンダラも、どちらも世界の多様性を引き受ける方法としては共通しているが、ポリフォニーは、それが響きわたる空間を前提とするのに対して、マンダラはその空間の生成そのものを問題にしているという点に両者の本質的な差異があると中沢さんは指摘する。


あ、中沢新一に先を越されていたか残念と思いつつ今はラフマニノフ Pコン2番フィラデルフィア管弦楽団。バッハに限らず聴楽しながら曼陀羅を時には思い出そう。化身とか方便は便利、融通無碍な言葉や。
ちなみに今年大ブレークした阪神近本の座右銘は一所懸命だそうだが、大日如来の実体は一所懸命なる心の働きと理解している。山川草木悉皆一所懸命。