鍵泥棒のメソッド

クラシック音楽を効果的に使った映画に出会った。BS録画「鍵泥棒のメソッド」。

35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井（堺雅人）は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ（香川照之）が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/%E9%8D%B5%E6%B3%A5%E6%A3%92%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%82%BD%E3%83%83%E3%83%89/342238/
殺し屋香川が待機中聴いているのがベートーベン弦四14番嬰ハ短調OP131第１楽章。コメディ映画には全く程遠い内省的深刻音楽なのだが、この曲が実は展開上のキーにもなっている。記憶喪失を克服しようとする実直丁寧な香川勝ち組、その律儀さに惚れてしまう広末涼子、そして負け組堺雅人の哀れながらもそれなりに貫こうとする誠実。
お陰でOP131を聴く際にこの映画を思い出してしまうがな。アマプラにもあったので暇があったらいつか再会しような。