天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

音楽は音楽、カラスの勝手

アクセルロッド京響レニングラード に向けて拡張予習→玉木宏音楽ミステリー。


この番組録画永久保存してるのだが、トスカニーニアメリカ初演がチラと流れたら全曲聴きたくなってSpotify探索→あったあった。

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ショスタコーヴィチ交響曲第7番ハ長調op.60『レニングラード
録音時期:1942年7月19日
録音場所:ニューヨーク、8Hスタジオ
録音方式:モノラル(放送用ライヴ)

変なノイズが多数入っていたりして聴き易くはないのだが、トスカニーニにしては珍しくテンポを揺らしたりして熱気を感じる。当時、反ナチス戦意高揚音楽として放送された録音だ。


しかし番組でも伝えられていたが二枚舌ショスタコーヴィッチ 、単純に戦意高揚交響曲と受け止めてはならない。


作品完成直後の1941年12月27日に、疎開先クイビシェフでショスタコーヴィチ家のパーティーに招かれた隣人フローラ・リトヴィノワは、作曲者の次のような発言を回想している。
「ドミトリー・ドミトリエヴィチは言った。『ファシズム、それはもちろんあるが、ファシズムとは単に国家社会主義(ナチズム)を指しているのではない。この音楽が語っているのは恐怖、屈従、精神的束縛である』。その後、ドミトリー・ドミトリエヴィチは、第7番ではファシズムだけでなくソビエト全体主義も描いたと語った。」


更には、


たとえば、有名な第5番。以前から第1楽章のフルートの旋律が「カルメン」に似ていると指摘されてきたが、その謎を解く鍵は1934~35年に愛人関係を結んだエレーナ・コンスタンチノフスカヤという女性の存在だというのが、一柳さんの説だ。

などの説があるショスタコーヴィッチ の事だから単純な二枚舌ではないだろう。反ナチス、包囲下の悲惨なレニングラード市民への思い、戦意高揚作曲を強制するスターリン体制への反発に加えて個人的体験の音楽化だと思う。だから、このレニングラード交響曲を純粋に音楽として聴けばいい。トスカニーニの録音フィナーレも戦意高揚バンザイとは聞こえなかった。音楽は純粋に音楽→カラスの勝手である。