天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

自分をすこし横に置く

100分de名著は毎回録画しているお気に入り番組。今月は神谷美恵子、今週はその3回目「生きがいを奪い去るもの」。悲しみとの向き合い方のレッスンだった。番組レジュメからコピペ。


わが身に降りかかってくる困難を避けるのではなく、その意味を掘っていくことこそ「生きがい」を深めていく営為なのである。第三回は、「生きがいを奪い去るもの」との向き合い方、試練に向き合ったときにはじめて気づかされる「生の深み」を学んでいく。
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/76_ikigai/index.html#box03


これだけでは何のことだかよくわからないので番組に出てきたパール・バックの例を書く。彼女の待望の娘は愛らしく利発そうだったが、育つにつれて言葉を喋れない知的障害児と分かってきた。この悲しみを克服しようと世界中の医師を訪ね回って得た結論は治せないということ。そこでようやく彼女は気づく。

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そんなパール・バックが蘇生したのは、あるがままの事実を受容するようになったからだった。この悲しみは死ぬまで自分から離れることはないし、また、誰も自分を助けることが出来ない──そう悟った瞬間に、彼女はこれが自分の運命なのだ、自分はそれを生きて行くしかないと覚悟したのだった。
彼女が悲しみとともに生きて行くことを覚悟したときに、悲哀克服の第二段階が始まった。彼女は、悲しさのなかにあっても、楽しみを求めることは可能であり、積極的に楽しみを求めるべきだと考えるようになったのである。
http://www.ne.jp/asahi/kaze/kaze/parl.html
彼女は娘のためにそしてまた同じような知的障害の子供たち、更には親に恵まれない子どもたちのために施設を作りその子たちと共に生きる道を選んだ。番組では「自分をすこし横に置く」と表現していたな。悲しみと戦うのではなく悲しみと共に生きる。利己ではなく利他と思った次第。