天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

生はいとしき蜃気楼 その3

健太郎の日記 生活と人生は違う

 

俺も定年退職後引きこもりになるつもりは全く無かったんよ。しばらくリハビリしてその後は混声合唱や俳句の会でおばさまたちとイチャイチャでもしようと思でたんやけど、ゴルトベルク変奏曲平均律クラヴィーア曲集、グールド などにはまってしもてSpotify三昧。そうしてるうちにこの文章に出会うて愕然としたんや。

『深い河』が遠藤の遺言的著作だと言う山根氏は、この作品を通して遠藤が次世代に伝えたかったのは、生活と人生の違いだと話した。病気になったり、愛する人を失ったり、「生活の次元」においては苦しいことはたくさんある。しかし、人間にはもう一つの次元があり、それを遠藤は「人生の次元」と名付けた。「生活の次元」での挫折にも、生きる意味を見出す「人生の次元」を小説やエッセイで書き、苦しみを乗り越えて生きるヒントを教えた。

そうか、俺は生活しか生きてこなんだ。上下左右への目配りを怠らず如何に上手に立ち回るか、それが生活=HOWやと思い込んでいた。ちゃうねん、それだけやないねん、もうひとつの次元、人生=WHAT&WHYがあるんやと目が覚めたんや。
そう思たらおばさまたちとのイチャイチャも美枝子の言うてた世界一周もアホらしなってもた。そんな時間があったら俺は人生を世界を味わい尽くすんやとバッハ 、グールド 、マーラーNHKオンデマンド100分de名著。大河ドラマ篤姫」にも涙を流した、朝ドラ「カーネーション」は屈指の名作や。

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