天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

和子の告白 その1

なんとか幸せ掴んだかなあ

高校以来の無二の親友、幸代の作戦に乗せられて成功^_^
あの同学年会の夜、酔い潰れた龍彦を膝枕に乗せて、そのあと、行くところまで行ってしもたわ。もうこんな歳やからお互い、満足するデキではなかったけど欲を言えばキリがない。なにより大切なのは心の平安と幸せ。今は龍彦の住んでいたUR賃貸で穏やかな二人暮らし。

そもそもの始まりは私の勤めがそろそろ限界に差しかかってきたこと。30で離婚してそれからずっと保険のおばちゃん、65の定年の後は嘱託で雇用継続してもろたけど契約がだんだん取れなくなってきた。認知症もあるかなあ。
そんなことを幸代の店で話していたら、あの龍彦が東京から関西に戻ってきたっていうのよ。

龍彦がウチのことを好いとるんは知っとったんよ。そんなん雰囲気でまるわかり。アクションして来るかなあと密かに期待してたけどなあんにも無し、あの意気地なし。高校卒業で無限遠距離に離れてしもた残念。

その意気地なし龍彦が近くに戻ってきて、しかも奥さんを癌で三年前に亡くして一人暮らしとはカモネギよと幸代が囁くのよ。保険の会社にも客にも幸代の店に来るオトコもロクなのはいないからモノにしょとウチも思た。
そこからはその道のプロ幸代の作戦。放ったらかしにしていた同窓会名簿にメアドだけ載せて待っていたらしめしめ、龍彦から54年ぶり突然メール。簡単な返事だけして後は神の沈黙作戦。焦らせば焦らせるほど燃えるってホントやね。

同学年会の夜にご褒美をあげたら後はトントン拍子。ウチは優位性を保ったまま同棲生活。

ホントを言えばあたしは他人が嫌い自分大好き自己愛一番。蓄えも少々あるから、ずっとお一人様でもええと考えてた。そこへ親譲りアルツハイマー発症、お一人様が不安になったのもあるし、優しいオトコが生活上も欲しくなったな正直。ご縁やったね龍彦。
でも作戦のことは龍彦には絶対に明かさへん。財布は一つ心は二つ、お互いに相手をリスペクトして適切な距離を保つ、それがシアワセの秘訣。

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