天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

ショスタコ弦四 13番の壁

少し以前からショスタコ弦四全曲聴破プロジェクトを続けていたが京響レニングラード からみで暫く中断→今朝から再開、11番から終曲15番へと。
ところが13番で壁にぶつかってしもた、なんやあこの虚無は。


そこで参考記事検索。


先に「同じ作曲家の違った側面」と書いたが、第5回の演奏会で感じたのは、もはやショスタコが「叫ばない」ということだった。第13番変ロ短調(作品138)では、大仰に構えて声高に主張するということがない。ジャズを模した軽快なリズムで少しだけハッスルしてみるものの、根は暗い。暗さは曲の終わりまで連なっているが、最後にヴィオラのソロが出てくる。時折、第2ヴァイオリンがコル・レーニョ奏法で小さく「コツン」と叩く音がする以外は、長い間ヴィオラの小野氏の音しか響かない。いつのまにかヴィオラは高みを目指して進んでいる。指板の押さえられるポジションがもはやない、というほどの高音を小野氏の左指は押している。音程がやや不安定にすらなる。真ん中の「ド」から約3オクターブ近く離れた高い「シ♭」を、小野氏は一生懸命に弾いているのだ。息も絶えだえに、必死で弾いている。あまりに高い音だったから、後から同じ音の列に加わったヴァイオリンとの音程のほんの少し差が、逆に音楽の切実さを刻んでいるように思えて、ただただ切なくなった。


よし、この記事を参考にした上で明日再挑戦13番。人生は短い日々是好日←最近コレばっかりやねん。

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ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全集
フィッツウィリアム四重奏団(CD6枚組)


1975~77年ステレオ録音。作曲者と直接交流のあった英国のグループによる有名なセット。ショスタコーヴィチ自身も高く評価したという彼等の演奏は切れ味鋭いものでしたが、表現の幅もきわめて広く、そこには作品への深い共感が常に示されていて実にホットであり、アナログ完成期の名録音と相まって、これら15曲が形成するシリアスかつ広大な世界を描き尽くしています。