天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

わが心の切なる願い BWV727

ヴァルヒャ12枚組→オルガン小曲集を終えてドイツオルガンミサに行く前に名曲「わが心の切なる願い」BWV727がある。 ヴァルヒャ、ベーメ鈴木雅明、フォクルールの聴き比べPLを作成した。

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鈴木雅明の演奏がしっとり、ええなあだったのだが終曲にかけてヴィブラートをかけ過ぎ→嫌味に聞こえてしまう。フォクルールも同様。ベーメか渋すぎるけど一番としておこう。
ところで「わが心の切なる願い」とは何かというと


我は、切に幸福な死を願う
この世は、試練と不幸が取巻けば
我は、悪意の世との別れを熱望す
我は、永遠の喜びに憧れる
おおイエスよ、はやく来たれ!


バッハのコラールの中で良く知られているメロディ、同じ旋律のコラールは「マタイ受難曲」で5回現れ、讃美歌の「血潮したたる」(O Haupt voll Blut)のメロディとして知られていて、受難のイメージが強い。
コラールの歌詞は死への憧憬を内容とし、タイトルの「切なる願い」とは幸福な死(永遠の喜びでもある)を願うもの。
https://kirkmusicdiary.blogspot.com/2011/01/herzlich-tut-mich-verlangen.html?m=1


幸福な死なのだ。この世は辛い、辛い仕事を面白くと頑張っても人間いつかは死ぬ、だったらいっそ平安な死を願おう、それがわが心の切なる願い。
そこでこのPLにマタイからコラールをいくつかピックアップ付加した。このPLを繰り返し聴けばマタイを聴いた気分にもなるし更には極楽浄土に行けるかも。そうそう、メロディはもともと恋歌だったそうな。


中心主題となっているのは、ハスラー(Hans Leo Hassler 1564-1612)の受難のコラール「血潮したたる主の御頭」であるという。
 ハスラールネサンス期のドイツにおける大作曲家の一人。
 「血潮したたる主の御頭(O Haupt voll Blut und Wunden)」は、「新ドイツ歌曲の楽しい園(Lustgarten neuer teutscher Gesang)」(1601刊)の中の1曲。もともとは「私の心は乱れ騒ぎ(Mein Gemut ist mir verwirret)」(5声)という名の曲だったものが、のちに歌詞を変えてコラール「わが心の切なる願い(Herzlich tut mich verlangen)」となり、さらに「血潮したたる主の御頭」としても知られた。
http://blog.livedoor.jp/rose_music_etc-old/archives/9141242.html


恋唄が死への憧憬となり更には受難コラールになる。人生オモロイなあ、まだまだ死ねない、安全運転しなくちゃ。

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