戦争と人間 完結編
映画はノモンハン事件で「完結」だが、小説では何処まで描いたんだっけ。昔、原作を読んだけどエンディングは覚えていない。
そこでアマゾン原作レビューからコピペ。
五味川純平作『戦争と人間』は凄い小説だ! そのスケールの大きさと共に、長さにも驚く。
どれだけ長いかというと、はじめに読んだ三一新書版は18巻だったが、こんど読んだ光文社版は分厚い文庫になっての全9巻!
この『戦争と人間』、そもそもの出逢いは映画だった。三部作9時間半の大作に感動をおぼえたのは1970年代だが、7年まえ原作を読んだ際には評価をあらため、オールナイト一夜で見られる映画なんか予告篇か単なるダイジェストに過ぎないと考えなおした。
新興財閥伍代産業にからまる人々を主軸に、満州事変から太平洋戦争にかけての激動に翻弄される人間模様が壮大なスケールで描かれる。伍代家当主由介(滝沢修)と、その弟喬介(芦田伸介)の大陸進出、その野望の尻馬に乗る長男英介(高橋悦史)の軽薄、この兄に弟妹である順子(よりこ、吉永小百合)、俊介(北大路欣也)が対立する。しかも左翼の標(しめぎ)耕平(山本圭)とは仲が良く、俊介は日本の大陸進出を侵略と批判して当局にもにらまれ、それがためせっかく兵役免除の特典も消され……
浅丘ルリ子、高橋英樹、三国連太郎、加藤剛、山本学、岸田今日子、松原智恵子、佐久間良子、丹波哲郎、西村晃等々、正当派きれいどころから悪役、名脇役、くせ役まで錚々たる顔ぶれのオールスターにあと一人!
この映画、一般には吉永小百合、浅丘ルリ子がメインみたいにいわれてるが、俺はそれより和泉雅子が演ずる「梅谷邦」というキャラにずっと注目してきた。
映画ではさわり程度のこの役も原作ではきっちり描きこまれている。
貧しいなかからせっせと貯金し、やっと買った靴を持って雨の中を裸足で歩いているところを俊介に見られたことがある。その俊介に子供の頃は富士山に段々を付けた絵を見せ、「子供だって間違ったことを描いてはいけない」と真剣に指摘されたこともあったのだ。
父の仕事から満洲暮らしの邦は、金持ちで東京暮らしの順子と違って社会を見る目もずっと肥えていた。その粗暴を毛嫌いしつつ、戦争で父を亡くした雷太という少年には温かな目を向けてきたのに、その雷太に力ずくで犯されたことは邦の生涯最大の傷となった。だがそれにめげず、逆にそれをバネに単身雷太と対決するまでに成長し、喬介(芦田伸介)にさえひるむことなく堂々と戦争批判をして舌を巻かせるくらいの娘なのだ。
そして8月15日——
完膚無きまでの焼け野が原に戦争への怒りと空しさが突き上げる幕切れ。しかし、そのなかにあってあの邦が心身とも滅びることなく生き残ったことは唯一の救いだった。
敗戦まで描いたようだ。再読する気力まるで無し。