パゾリーニ「奇跡の丘」
静謐な映画だが少々退屈。イエスの生涯について全く無知だった以前なら難解→途中放棄したろう。
“マタイによる福音書”をコミュニストとして知られるパゾリー二が映像化し、意外にも、どんなハリウッド製のキリスト伝より感動的な作品となっていることに、改めてイタリアの信仰心にふくよかな風土に思いを馳せずにはいられない。出演は全て素人。音楽に使われるのは黒人霊歌や革命歌。カメラはあくまで素朴に人間キリストを中心に捉え続けるが、こうした表現の自由さが、真理を獲得した信徒たちの生き生きとした喜びの表情を自然に導き出す。終幕の復活劇のごくあっけらかんとした反ロマン的表現も、むしろ神話的な力をより印象づける効果がある。
<allcinema>
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=5299、
ところで隣人、明日退院。愉悦の一人暮らしよ、しばらくさらば。