天井桟敷日記

「天井桟敷からの風景」姉妹版

信仰=希望+感謝+納得

近頃話題のカウフマン大地の歌。本来はテノールバリトンが交互に歌う大地の歌をカウフマンが一人で全曲歌っている演奏。

通常は「テノール&アルト」、もしくは「テノールバリトン」によって歌われる『大地の歌』ですが、カウフマンはもともとダークで力強く太めの声の持ち主ということもあって、バリトン音域もカヴァーできるということなのでしょうか。思い切ったアプローチとも思えますが、共演オーケストラは、これまで数多くの『大地の歌』の名盤を生み出してきたウィーン・フィルということで、勝算ありとみての大胆な企画なのではないかと思われます。
http://www.hmv.co.jp/artist_マーラー(1860-1911)_000000000019272/item_『大地の歌』 ヨナス・カウフマンジョナサン・ノットウィーン・フィルハーモニー_7678619

ひょっとしたらとアップルミュージックを探してみたらあったあった。早速聴いてみた。
確かに上手い。低音もしっかり歌っている。
けれど物足りない。色気もない。
そこで終楽章をお気に入りのクレンペラー×クリスタ・ルードヴィヒで聴いてみた。

出だしのオケからして違う。ねっとり粘っこく濃厚。やがて出てくるルードヴィヒの声もセクシー。この世に別れを告げる音楽が迫ってくる。歌詞の最後の部分は

このいとおしい大地は、春になればどこもかしこも
花が咲き、再び草木の新緑に染まるだろう
どこもかしこも永遠に明るく
永遠に永遠に
http://www.tokyo-harusai.com/news/news_730.html

で曲は終る。カンタータでよくある「死は喜び、主のみもとに行けるのだから」なんてのは偽善。私がいなくなっても春はめぐり来て花が咲くという方がしっくりくる。

カウフマンのお陰で大地の歌終楽章を二回も聴いたので、信仰は希望と感謝に加えて納得ということがよくわかった。全てはご縁である。f:id:doyoubi92724169:20170423061758j:image